【演奏動画】曐閒移動式共振 played Modern Sounds / Pluto

2024年2月21日水曜日

演奏動画 - solo

t f B! P L

 

はじめてセミモジュラーシンセを使って曲を書きました。使用したのはアメリカのメーカー"Modern Sounds"の製品『Pluto』。タイミングがよかったので公式サイトで注文し個人輸入しました。

届くまでの記事はこちら

モジュラーシンセは今まで自分にはあまり魅力的ではなかったのでこれまで手を出しませんでしたが、Plutoのデザインやサイズ、音色にグッとくるものがありました。

あと、演奏における基本スタンスがキーボード奏者である自分がモジュラーを導入して曲を作ったらどうなるのかということに興味があって今回の購入に至りました。

実際に色々触ってみると今までの音作りとはまったく違う観点で創作意欲を刺激されるのでとても面白いです。

今回制作した曲はソフトウェアのピアノとPlutoだけのシンプルなものです。エフェクターや他機材も混ぜてやれば表現の幅は広がると思うのですが、素材を生かしたい狙いがあったのであえて機材は限定しました。

タイトル

"曐閒移動式共振"

セイカンイドウシキキョウシン

あらゆる物質の素になる素粒子の振動を調整することで星と星の間を移動できる装置のこと。未来ではなく、少し昔の時代設定で使われていた架空の装置を使ってある男が故郷の星を離れ次の星へ向かう途中の心象風景を音で表現しました。

即興でピアノを考えたのでなぜこういうメロディー、コードになったのか深くは分かりませんが、客観的にみると1997年アンドリューニコル監督の名作 映画「ガタカ」のマイケル・ナイマンの音楽の影響が出ている感じがします。

どうしようもない理不尽なことへの諦めとそれを他人事のように俯瞰して視点を変えることで導き出されるかすかな希望が共存するような感じです。

書いていると映画「ガタカ」を観たくなってきたので、名言を引用したいと思います。まだ観ていない人ごめんなさい。

映画スクエアのサイトから引用

ヴィンセント(ナレーション)「地球にいる意味なんてないと思っていたのに、突然去りがたい気持ちが湧き上がっている。我々を形作っている原子は、宇宙のかけらだったと言われている。もしかしたら、僕は去るのではなく、故郷に帰るのかもしれない」

Vincent: For someone who was never meant for this world, I must confess I'm suddenly having a hard time leaving it. Of course, they say every atom in our bodies was once part of a star. Maybe I'm not leaving... maybe I'm going home.

きちんとアレンジしたらもっと雰囲気が出すことができる自信はありますが、この曲はひとまずこれで完成にしたいです。

機材について

Plutoとは、

(下記画像は公式マニュアルから引用)

2つのボイスとシーケンサー、ミニキーボード、リバーブ&ディレイを備えたBuchla Music Easelから80年代のCasioシンセサイザーに至るまで、ポータブル電子楽器の伝統を継承シンセサイザーです。

ざっくり言うと2つのボイスをmoosと呼ばれる冥王星の5つの衛星にちなんで名付けられた5つのモジュレーションチャンネル(CHARON、STYX、NIX、KERBEROS、HYDRA)のパルス信号を使っていくつかのパラメータをコントロールして音を作っていきます。

コントロールの命令はパッチケーブルを使って出力と入力を接続。
上記画像で
-出力 まわりが黒丸
-入力 まわりが白丸

例えばCHARON(出力)から左端にあるSTEP(入力)を接続すると、CHARONのパルス信号がHIGH(信号が出ている時)の時にボイス1のシーケンサーをひとつ進めよという命令が伝わります。

言葉で説明するのがすごく難しいのですが、ようは命令する信号が5つあって、それぞれが何の命令をボイス1と2(実際に音がなる部分)に伝えるのかという仕組み。

パッチ


今回の曲で組んだパッチが下記。1箇所配線を間違えていますので決して真似しないで(笑)
(出力から出力に接続してしまっている。。。)

前提準備で演奏用MIDIキーボードkeystepとPlutoをMIDI接続。こうすることでコードやノート情報をPlutoに送ってPlutoを同じスケールで鳴るようにしています。ピアノはテンポに同期させずに揺れたまま弾いているのでPlutoのクロックは同期していないのですが、近いような値になるように設定しました。

keystepは給電を兼ねてUSB-MIDIでPCに接続。Logic Pro X上でNOIREピアノを起動し演奏。

ピアノはMIDIでPlutoはオーディオでレコーディング。ミックス、マスタリングはLogicでやりました。ミックス時、PlutoにはEQ、コンプ、位相調整のプラグインをかけていますが、リバーブはPluto内蔵のものしかかけていません。(シマー系の音色でレンジが広くいい感じ)

曲中で聞こえるピアノ以外の音はすべてPlutoから鳴っています。

Plutoの音を出して感じたのはS/N比がとてもいいこと。内部のパーツのことまで分かりませんが、質の良いものをつかっているような気がします。

マニュアルを何回か読んで8割ほど操作を理解したので、vocalをあわせたりして違う雰囲気の曲も作ろうと思います。



















プロフィール

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横檬 龍彦(ヨコモタツヒコ) 音樂評論家 「すべての作品はそれが存在している時点で評論される価値がある」 世界丸音普及協会理事長 著書「なつかしくてあたらしいひびき」 「まるいおとのつくり方」(絶版) *これはすべてフィクションであり横檬は建水歩星の評論家としての名前である。なお記事内で両者は区別される

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