【リリースまでの経緯】
2022年12月10日(土)TINÖRKSの新譜をリリースしました。
Shizuku Kawahara:
Vocal/Tin Whistle/Background Vocals
Hosei Tatemizu:
Piano/Synthesizer/Ukulele
Wrriten,Arrangement and Mixed by Hosei Tatemizu
Mastering by Kubo Kazunori(STUDIO mixim)
Artwork by Hosei Tatemizu
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『ユニコーンは砂時計をみつめる』というタイトルです。音源としては2021年1月3日にリリースの『MORINO HAJIMARI』(森のはじまり)以来、約2年ぶりになります。
この間、精神的に落ち込んでいたり、コロナ禍を避けるために田舎へ移住したり状況に大きな変化があって音楽に100%集中できませんでした。
それでまた大阪に戻ってきて、精神的に回復の兆(きざ)しがあり、創作意欲が少しずつ湧いてきたのでメンバーに連絡して、以前に企画していたTINÖRKSのアルバムの制作を再開したいことを伝えました。
ライブで演奏し音源化していない『Corot』(コロー)や『旅人の絵本』、他新曲を作り始めました。mixを進めていますが、トラック数が多いので予定曲をすぐに完成させることは難しいと判断し、ひとまずシングル曲を完成させてリリースしようと思いました。
(「旅人の絵本」mix風景)
そうすることで、失われた「音楽感」を取り戻せそうな気がするのと、作品を公式にリリースすることで創作意欲に勢いをつけれるかなと思ったからです。
【曲の背景】
『ユニコーンは砂時計をみつめる』はTINÖRKSで活動するずっと以前、ヴォーカルの雫と二人で音楽活動をしていた頃に書いた曲です。
(この頃はピアノを弾きながらボンゴを叩いたり時々飛び道具的な演奏をしていました) |
そのユニットのコンセプトは「ヨーロッパの街並みを舞台に、日常の中でささいな幸せに気がついたり、新しいことを発見したり、空想にふけったりして過ごす」ことでした。
当時は歌、ピアノ、笛(ティンウィッスル)、パーカッションなどアコースティック楽器のみで生演奏していました。活動後期はチェロのメンバーが入って自分のイメージに近い世界観を表現できていたのですが、自分の実力不足による結果がともなわなかったのと、ライブハウスを中心にした活動はとくにチケットノルマの負担があまりにも大きく活動を継続することを断念しました。
自主制作したアルバムに収録され、ライブでも頻繁に演奏していた曲がこの『ユニコーンは砂時計をみつめる』です。
約20年前に作った曲が時空を超えて現在のTINÖRKSの感性と融合しよみがえった感覚です。自分自身とても思い入れのある曲なので、今回のセルフカバーは感慨(かんがい)深いものがありました。
【曲解説】
TINÖRKSでカバーするにあたって、盛り上がりをドラマチックにするために、アレンジやコード進行の一部を変えました。ただし、生演奏をしていた頃のことを踏襲(とうしゅう)するために、打ち込みを使わずにピアノを録音し制作しました。
歌とピアノ、間奏で演奏するティンウィッスル(アイルランドの縦笛)の3つを柱にしてディレイのエフェクトがかかったウクレレでリズムを加えたり、シンセサイザーの音色で空間の広がりを演出しています。
ティンウィッスルはSusato(スザート)というアメリカのメーカーのEb(イーフラット)管を演奏しています。木製の柔らかな響きではないですが、PVC製特有の輪郭がはっきりとした素朴でパワフルな音色です。
テンポは70(1分間に四分音符が70回刻むスピード)、音数も少ないのでとてもゆったりした展開を感じていただけると思います。
歌やピアノ、各楽器の行間や奥行きに自然と耳をゆだねながら、世界が広がるようにイメージしていただければうれしいです。
「ケルトの笛屋さん」でEb管を含めたティンウィッスルのセットを販売されています。
(スザート社製「Oriole」モデルのティン・ホイッスル D・Bb・C・Eb管セット)
(画像はケルトの笛屋さんのwebサイトからお借り致しました)
https://celtnofue.com/items/detail.html?id=1140
【歌詞】
何もない 真っ白な部屋
ユニコーンは砂時計をみつめている
戻るはずのない
瞬間はふえていく
私はつくられた
空想の世界
人が描いた幻の獣 ずっと
ユニコーンは砂時計をみつめている
戻るはずのない
瞬間はふえていく
だから今この時に
できることのすべてを
描いて行こう
ひろがる世界へ
【歌詞について】
以下、個人的な考えですが、人は動物であり、そのため野性的な感性が備わっているはずです。人が時間の概念(がいねん)に影響を受けているようにユニコーンを擬人化しました。そして野性的で神秘的な象徴として位置づけました。
時間は未来から過去に流れ、戻ることはありません。(量子論として戻れるというのはあると思いますが…)
その時間の中で、自分に宿る無限の可能性に気がついて、それを自分自身に偽りなく、この世界の中で表現していこうというのが歌詞の内容です。
人に備わっている、または宿っている野性的な感性。
それは直感やあらゆる身体の感覚、心やその上位にある魂(余談ですが研究によると、人が亡くなる時には21g重さが減るそうです。魂に重さがあるそうです)
そういった目に見えづらい感覚を大切にしたいのと、それをすべての人が発揮できる世界がいいなという想いを曲に込めています。
【楽曲販売】
BASEにて販売している『ユニコーンは砂時計をみつめる』デジタルデータには下記が含まれています。
・44.1kHz/16bit WAVファイル
・44.1kHz/320kbps mp3ファイル
・jpg形式のジャケットアートワーク(表紙&歌詞カード付き見開き)
BASEの他ではTINÖRKS 公式Bandcamp(バンドキャンプ)でもダウンロード販売中です。(ハイレゾ音源をお求めの方はBandcampでご購入ください)
データの形式は通常の
と
の2種類用意しています。
ファイルは圧縮していないWAVの他mp3、flacでもダウンロードしていただけます。
(*ハイレゾ音源は対応する機器がない場合再生できませんのでご注意ください)
(曲を聴いていただけるだけでもとてもうれしいですが、もしよかったら楽曲を購入していただけるとさらにうれしいですし、次作制作の資金にさせていただきます)
*2022/12/25追記
歌、笛(Tin Whistle)、ピアノだけでミックスした[calm acoustic]バージョンをリリースしました。よりシンプルに穏やかな雰囲気に仕上げています。
bandcampのalbum購入のみダウンロードしていただけます。
【楽譜販売】
音源で演奏している主要なパート、「歌」「笛」「ピアノ」を完全再現したアンサンブル譜もリリースしました。
(*笛(ティンウィッスル)については、装飾音や演奏スタイルは記載しておりません。メロディーのみ記譜しています)
テンポがゆったりしていて、音数も多くないので、演奏しながら曲の世界観に浸ったり、弾き語りや友達とアンサンブルしたりして自由に楽しんでください。
楽譜はTINÖRKS BASE Official Shopにて販売中
https://tinorks.thebase.in/items/69764203
【最後に】
以前に書いた曲のセルフカバーというのは初めての試みでした。実は今までに何度かこの曲をリアレンジしようと思ったことがありましたが、その時はアイデアが出てこず諦めました。
精神的な変化によるものだと思いますが、今回はすんなりと制作が進んだので、タイミングとしてはやはり今だったと感じています。
頭で計算してすることよりも、大きな流れや感覚的なものに任(まか)せた方が、自然と進んでいくと改めて気がつきました。
その時にやりたいことや、思いついたことをそのまま自分にさせてあげることで、結果への流れがよくなると思いました。それは自分が自分とつながることでもあると思うし、自分へ寄り添ってあげることのような気もします。
音楽は目に見えないもの(振動)ですが、視覚的なイメージが固定されていないので、それぞれが見たい世界を心の中に形創れるツールのようなものだと思います。
心の中に形創るきっかけのひとつに『ユニコーンは砂時計をみつめる』がなることができればうれしいです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
TINÖRKS
建水歩星