(この記事は以前に自分の他のブログに投稿(2021年5月12日)したものを転載しています)
TINÖRKSの演奏動画「Kaamos」(Home Session Mix)を公開しました。新譜「MORINO HAJIMARI」に収録している曲の演奏動画です。新譜の映像コンテンツとしては今回で4つ目。田舎に移住してから自分の部屋で撮影しました。
【今回のポイント】
- 弱音ピアノ音源を演奏
- 後半部のラップハープをでメタロフォンに置き換え
- 後奏(coda)にピアノソロ的なフレーズを
- ライブ感が伝わるようにミックスを変更
です。
順にサクっと解説していきます。
【①弱音ピアノ音源を演奏】
今までライブや演奏動画ではソフト音源を弾いてこなかったのですが、動画では音源と同じuna cordaというNative instrumentsの弱音ピアノを弾きました。録音したのはMIDI(ミディ)データと呼ばれるものです。
自分の場合、ライブで通常レコーディングする時は音声データをパソコン上に録音するのですが、MIDIデータというのは音声データではなく、演奏データのことを指します。
演奏データというのはざっくりいうと、
何の音を
どのくらいの強さ、長さで
弾いたかを記録したデータです。
具体的にいうと、「真ん中のドの音を84の強さ(ベロシティと言います)で四分音符の長さで弾いた」というデータです。
実際は他にもたくさんのパラメーターが同時に記録されますが、分かりやすくいうと上記になります。MIDIデータをパソコンに1曲通して記録して、演奏後にそのデータを音声データに変換し、エフェクトをかけて音圧や奥行き感などを調整します。
話を戻して、una corda(ウナコルダ)という弱音ピアノは音色が柔らかいので穏やかな雰囲気を表現するのにぴったりでとても気に入っています。TINÖRKSの世界観そのものにも上手くはまっていると思います。「Kaamos」では暖炉のそばにあるピアノをそっと弾いているようなイメージです。
【②後半部のラップハープをでメタロフォンに置き換え】
音源では前半と後半で雫が奏でるラップハープが登場しますが、実は前半と後半では一部チューニングを変えています。さすがに演奏しながらチューニングできないので、音源と同じようにするにはラップハープが2台あればアレンジを変えずにいけるのですが、それはできないので、後半のハープをメタロフォンに置き換えました。
アレンジを変えても雫はうまく世界観を出してくれるので本当に心強いです。やっぱり貴重なプレイヤーだと改めて思いました。
メタロフォンの音に尾ひれをつけて幻想的にするためにエフェクターで調整しました。メタロフォンの波形データを逆再生したものをエフェクトし重ねています。
ちなみに曲の最後の方で雫がラップハープの端の弦を弾いていますが、音源にも入っている通りSE的な感じになるよう演奏後に音を加工しています。
【③後奏(coda)にピアノソロ的なフレーズを】
せっかく生演奏の動画を撮影するので、音源と同じだと面白くないし、ミックスにも関係しますが、よりライブ感が出た方が曲が伝わるかなと思って、ピアノソロ的なフレーズを後奏に入れました。
hara kanaさんのヴァイオリンの演奏が後半につれてとてもエモーショナルで緊張感もあるので、それとの相乗効果を出せるように印象的で少し感情表現が出るようなフレーズを考えました。
ちなみに後奏以外も気分で(笑)ピアノのフレーズや弾き方も変えている所があります。こういうのもライブならではの良さですね。
【④ライブ感が伝わるようにミックスを変更】
音源と同じトラックを使っていますが、ミックスはビートよりに変えました。ヴォーカルはライブ感が出るように生々しさを残して、生楽器も会場で聞いているような臨場感のある音作りにしています。
以上、今回のポイントでした。
ダークな雰囲気でいつものTINÖRKSの曲とは世界観が異質に感じるかもしれませんが、聞いて頂いた方々それぞれの景色を思い浮かべてもらえるとうれしいです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ほせい
Kaamosの音源verはこちら
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「Kaamos」はTINÖRKSのCD「MORINO HAJIMARI」(森のはじまり)に収録されています。TINÖRKS BASE公式ショップにて通販でご購入いただけます。
https://tinorks.thebase.in/items/40720526